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健康栄養学科ニュース

お知らせ

後藤教授が愛知県保健所(知多、半田)の食生活改善支援研修会で講演をしました

令和3年12月8日(水)、ZoomによるWeb研修会で、知多半島の事業所給食関係者、食関係ボランティア団体、行政職員、管内栄養士会会員の皆さん約30名を対象に愛知県半田保健所と愛知県知多保健所による「食生活改善支援研修会」が開催され、健康生活学部 健康栄養学科 後藤千穂教授が講師を務めました。

 研修会は「コロナ禍でもできる!知多半島の環境整備」として2部構成で開催され、講演1は「事業所給食と健康づくり」、講演2は「コロナ禍での家庭の食事」でした。

講演1の「事業所給食と健康づくり」では、従来型の積極的な食育(食を選択する力を身につけ、実践につなげる)も重要ですが、気づかれない食育(意識しなくても健康的な食生活になるような仕掛けづくり)や環境整備も必要で、気づかれない食育ではナッジ理論が有効なことが話されました。ナッジとは「肘でそっとつつく」という意味で、人々が行動を選択するときのくせを理解して、強制することなく、人々の行動を望ましい行動に誘導するアプローチのことです。人は1日に何度も何を食べるか決断していることから、このナッジの考え方は健康的な選択を促す環境づくりに役立ちます。ナッジの構成要素としてEAST(Easy, Attractive, Social, Timely)について、具体例を示して解説しました。また昨年度、社員食堂をもつ事業所と一宮保健所、後藤ゼミの学生のコラボで実施した「健康社食プロジェクト」で、健康関連動画を作成し、食堂でループ再生したことなど、実践での活用例が説明されました。

講演2の「コロナ禍での家庭の食事」では、近年の新型コロナウイルス感染症の影響で、自宅で食事を食べる人や料理を作る人が増え、家族と食事を食べることも多くなっている状況について説明がありました。家庭食が重要になってきていますが、愛知県は県全体として野菜摂取量が低い県です。また、魚や野菜の摂取量は家庭の経済的な影響を受けることから、学校給食や保育園給食は、家庭とは異なる食体験の機会となり、さらにその重要性が高まっていることが説明されました。さらに野菜を摂取する際に注意する点として、塩分があります。高血圧対策としても減塩の推奨が必要で、野菜に含まれるカリウムは、食塩(ナトリウム)の排泄に働きますが、食塩をどれだけとっても野菜さえ食べていればよいというわけではなく、カリウムが血圧を下げる働きは、食塩摂取量が低い時に効果があることから、やはり前提としては減塩した上で野菜を食べることが大切であると説明されました。また家庭単位の食塩摂取量と循環器系疾患の死亡リスクに関連がある事が示され、家庭単位での減塩の取り組みも必要であることも話されました。
以上の話を科学的根拠となるデータを示しながら解説しました。

 参加者からは、「近年の研究結果や興味ある話題も話してもらって良かったです。」、「改めて『食』の大切さを考えることができました。」など、分かりやすい解説で大変参考になったようでした。今後も地域の皆様に本学の教育研究を還元していきます。