基礎教育センター/落合 洋文先生
数学が必要なのは
理系だけではありません!
文系科目でも本当に「わかった!」と言えるまで理解するには、数学的な発想力がしばしば必要になります。しかしそれは難しい計算技術ではなく、ちょっとした考え方のコツみたいなもの。数的処理Ⅰ・Ⅱでは、身のまわりの出来事を例に、数学の舞台裏をやさしく解説、「なーんだ、そうだったのか」を実現します。
基礎教育センターの概要
高度な学びへと飛躍するために、「基礎教育センター」で基礎力を育成。
大学で高度な学習を行い、知識をチカラに変えていくためには、自分で問題点を見つけ出し、解決策を導き出す力=基礎力が欠かせません。平成24年度に開設された基礎教育センターは、学生一人ひとりに最適な基礎力育成を行う専門組織です。
全ての学びの基盤となる論理的な思考力や表現力、コミュニケーション能力を養います。
web上のルーブリックで達成度を自己診断
自習スペースを学習サロンとして利用
基礎教育センターは一人ひとりに寄り添う指導がモットー。
学習サロンは先生にわからないことを質問したり、レポート作成の指導を受けたりするのに利用され、先生を囲んで歓談するシーンが日常的に見られるようになってきました。
学習カルテですべての学びが連携
学生一人ひとりの学力の特性や伸び方が一目でわかる学習カルテを介して、「基礎教育センター」「授業」「キャリア指導」が三位一体となった最適教育を実現。効果的な学習指導で、それぞれの能力を大きく引き出します。
楽しく、学ぶ、考える。
基礎教育センターでは、新入生が大学での学習に意欲的に取り組めるよう、さまざまな工夫を凝らした授業を用意しています。
たとえば日本語力Ⅰ・Ⅱでは、絵や物を見て、それを言葉で表現する文章デッサンを行ったり、プロのアナウンサーから発声法の基礎と話し方を学んだり。
また数的処理Ⅰ・Ⅱでは、マーフィーの法則を実験を行って確かめたり、おにぎり1個分のお米を育てるのに必要な水の量を計算したり。頭と体を同時に使って、身近で具体的な問題を先生や友達といっしょに考え、学んでいきます。
じっくり時間をかけて楽しく学びながら学生のやる気に火をつけます。
(一年次全学科必修科目)
POINT1 興味のあることだから、やる気が高まる。
本学には3つの学科があり、在籍する学生たちの興味・関心も学科によって異なります。そのために、学科ごとに関連する内容を盛り込みながら問題を作成。たとえば健康栄養学科の学生では、授業で行う化学実験をもとにそこで得られたデータを数学的に処理。またフードビジネス学科では、地産地消の経済的なメリットなど食品産業に関する数値を分析。また情報メディア学科ではゲーム理論をもとに数理を学ぶなど、各自の学びに身近な内容とすることで、学習意欲を高めています。
POINT2 繰り返し学ぶから、理解が深まる。
数的処理のひとつとして学ぶ「平均」の考え方を例にあげると、身長の分布のように山が1つのときは単純平均を求めることができますが、山が2つあるような分布では別の処理が必要になります。このようにひとつの知識を得たからといって、それで完全というわけではなく、さまざまな問題を繰り返し解くことで本当の理解が進んでいきます。基礎教育センターでは、いろいろな例題を繰り返し解いていくことで、多角的に問題を分析し理解を深めていけるカリキュラムが用意されています。
POINT3 みんなで学ぶから、勉強がすすむ。
基礎教育センターの授業は基本的に講義ではなく、実際に問題を解いていく演習形式です。しかも一緒に考えて学び合うという方針で、教室には2名以上の先生がつき、先生や友だちと自由にディスカッションをしながら問題を解いていきます。一人で黙々とやるのではなく、みんなで考えることで新しい発想が生まれてきます。さらに一緒に考えることで解決への道筋の発見を自分の体験にすることができ、また人に教えることで理解がいっそう深まっていくのです。
日本語力
日本語力といっても高校で学んできた国語とは違い、論理的かつ構造的に考える能力を重視した授業です。
どんな専門分野を学ぶにも、まず日本語で理解し、日本語で的確に表現することが基本。また新聞記事をもとに事件の犯人像を推理したり、自分が裁判員になったつもりで判決を考えたりするなど、多彩な角度から論理的な分析力や発表力を養います。
数的処理
例えば経済記事に現われる統計数字の意味や算出方法を自分でも実際に調べたり実験したりしながら理解していきます。
身近な出来事の数的関係を学ぶことで、数字やデータに対するセンスを養う科目です。
オストワルトの洗浄理論
視聴率の意味汚れた食器は何回すすげばきれいになるか?汚れた水が1mlあるとき、ここに9mlのきれいな水を加えて10mlにすると、汚れはに薄められたことになります。この水を捨てた後に残った1mlの汚れた水にさらに9mlのきれいな水を加えて・・・と同じ操作を4回繰り返すと汚れはつまりになります。9ml×4=36mlの水で1回すすぐのと比べると違いがわかるでしょう。大量の水で少数回洗うより少量の水で多数回洗った方がきれいになるのです。授業ではこの理屈を理解したうえで、実際にいろいろな溶液をつくって効果を確かめてみました。
視聴率の意味
○月×日に実際に放送された番組の視聴率データ(標本に選ばれた世帯がその番組を見ている割合。 1分ごとに機械的に計測)を使って視聴率とテレビ局の収入を計算してみます。この番組では 74分の番組放送中に15秒CMが7回入りました。視聴率1%のとき15秒CMを1回流すたびにテレビ局は10万円の放送料をスポンサーから受け取ります。実際に計算してみると・・・。テレビ局が視聴率アップに躍起になるのも無理はないと納得できました。
基礎理化学実験
主に高校で化学を履修してこなかった学生のために、大学で必要となる化学の基礎知識を半年間で教えます。実験を通して理論の意味や計算の仕方を理解。器具や試薬の扱い方、レポートの書き方も学習します。
滴定実験
酸・塩基中和滴定を使って食酢の中に含まれている酢酸を定量します。米酢とリンゴ酢では酢酸の含有量がかなり違うことが分かります。また、キレート滴定を使って、いろいろな水の中に含まれているミネラルの量を測定します。一口にミネラルウォーターといっても、含まれるミネラルの量には随分違いがあるので、考察していきます。このように身近なものを使った実験や、実験の楽しさを体験できる授業を行います。
高等学校の学習から大学の研究へ
基礎教育センターは高等学校から大学へ 学びの橋渡しをサポートします。
高校生が大学で化学実験!!SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)を活用した高大連携授業(実験レポートの作成方法の基礎を学ぶ)の1コマです。
SPPはJST(独立行政法人 科学技術振興機構)の支援を受けて、大学・科学館等と連携し、その研究者等を講師とする観察・実験・実習等の体験的・問題解決的な活動を通して、生徒の科学技術、理科・数学に関する興味・関心と知的探究心を育成しようとするプロジェクトです。