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フードビジネス学科

フードビジネス学科教員執筆の書籍紹介『フードサービス経営戦略論 繁盛店のしくみと作り方』

著者:阿部川勝義

出版社:中央経済社

発行年:2021年

ISBN: 978-4-502-40081-0

“独創的で新規性があり,模倣困難。”そんな繁盛店をつくるための「しくみ」づくりを本質的かつ実用的に解説した書籍。コロナ禍に負けないビジネスに役立てることができるだろう。

コロナ禍をチャンスと捉え,バネとして飛躍することが,これからのレストラン経営に求められる。そのコアとなる戦略は,コロナ禍を克服し”戦わずして勝つ”ことである。

コロナ禍により,レストラン経営にどのような影響が及ぶのだろうか。まず,IT(Information Technology)進化により産業構造の変化が速まる。ヒトとの接触を避けるためのDX(Digital Transformation)により,レストランの調理・接客が変革する。そして,ヒトに替わる機械やロボットによる自動化で,オペレーション効率が高まるだろう。ところが,自明の理であるこの自動化は,進みすぎるとホスピタリティが後ずさりすると考えられがちである。ここでは,付加価値を低下させないヒトによる間接的なコンタクトによる, “心のこもったおもてなし”を提供するDXが大切である。コロナ禍で苦戦を強いられているとはいえ,日本マクドナルドが,2020年12月期に創業以来の最高売上・最高益を更新する[1]など,大手チェーンの中には,このDXにより優位性を発揮しているレストランもある。

一方, IT進化により,今まで以上に体験価値に対価を支払うCX(Customer Experience)の時が訪れるであろう。「その土地ならではの食・食文化で,記憶に残る”食体験”を創り出す,食をテーマにした旅」[2]と共進する中小レストランには,独創的な差別化戦略により顧客の支持を得ている企業がある。顧客にとって,産直・新鮮・限定・厳選といった”この地域でしかなかなか採れないので食べられない,フレッシュで数に限りがあり,選りすぐりで地元のお墨付き”の食材は,フードツーリズムと共に人気がある。これらは,生産量が少なく希少価値である。調理とともに模倣困難性を確立することで,高付加価値を産み出すことができるといえよう。

このような, DXとCXの視点から”戦わずして勝つ”ことのできる”繁盛店のしくみと作り方”を述べている。

第1章では”繁盛店のしくみと作り方”の概略を述べ,続く第2章でレストランの役割,社会的機能,歴史的推移と近時動向等を概説する。第3章では繁盛店をつくる上で大切な商品開発について述べ,そのコアとなる独創性,新規性,模倣困難性の確立方法を詳しく解説。第4章では開発した商品を用いて,いかにして”戦わずして勝つか”という経営戦略の課題を取り上げている。

この課題解決となる,経営理念を第5章で,事業戦略と競争戦略を第6章で,機能別戦略を第7章で述べている。この具体的な”しくみ”を示すために,第8章で経営システムデザインを詳説。続く第9章では,このシステムで大切なホスピタリティとその”しくみ”について述べ,さらに第10章では,会計の視点から”繁盛店”とは何かを明らかにしている。

【注】

[1]https://www.businessinsider.jp/post-229431

[2]https://food-tourism.jp/