2022年末に公開されたChatGPT(OpenAI 社)にはじまり各社から提供されるようになった様々なタイプの「生成AI」は、それまでにない革新的な機能を、膨大なデータからの機械学習によって獲得しており、多くの場面で応用が期待されています。生成AIは、文章・画像・動画・音声・立体造形などの形式で表現される様々なコンテンツを、自然な形で短時間に生成する機能と性能を有しています。
生成AIの技術は、その応用において、本学が目指す「食と栄養と情報」の分野でも、実社会での活用や研究の発展に新たな可能性を拓くものです。教育や学修の場面でも、安全に配慮した上での効果的な活用が提案され実践されつつあります。
この指針は、本学の学生向けに、講義や学修における生成AIの利用に関する方針を示すものです。以下の事項を踏まえた上で、学生による主体的な学びを高めるために有効に活用することが重要です。ただし、生成AIを取り巻く状況は、急速に発展・変化していることから、この指針の内容も状況に応じて更新されるので気をつけてください。
●生成AIの有効な活用につながる場面
生成AIを活用することが有効な場面には、以下のような場面があります。
学生が主体的に学修を進める際の補助として、
①企画等のアイデアを出すための参考にする(ブレインストーミング等に活用)
②問題を明確にして議論を深めるための補助(論点の洗い出しなど)
③文献の検索や要約、翻訳、データ解析の補助などに利用して情報収集に役立てる
④学生が自ら作成した文章の校正や作品の修正案の提案
⑤プログラム、各種企画、メディア作品、レシピ等、学生による制作物の制作補助
⑥学生による企画や調査結果の効果的なプレゼンテーション資料の作成や企画書の整型
⑦自らの学修内容の整理や専門知識の解説、疑問点の解決等、学修活動での利用
などです。
また、情報検索・ワープロ・表計算・プレゼンテーション・CG 作成・イラスト作成などの一般的なツールに生成AIが組み込まれ、実社会や研究活動において生成AIの利用が当たり前になりつつある現状を踏まえて、以下のような姿勢が求められます。
⑧本学の、名古屋文理大学短期大学部「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」*)での学びを通して、生成AIについての基本的知識(リテラシー)を十分に理解し適切かつ積極的な利用を心がけること
*)https://www.nagoya-bunri.ac.jp/COL/about/data-science/
⑨本学での学修と学生各自の主体的な活動を通して、生成AIの原理や性質への理解を深め、積極的に活用することによって、生成AIへのプロンプト(質問・作業指示)に関する工夫やそれによる出力の性質の理解、生成AIの技術的限界(生成内容の真偽や著作権侵害の可能性)の体験による理解を深めること
こうした生成AIの利活用が、実際に効果的であったかどうか、生成AIを利用しない場合よりも学修の効果や効率が向上し自らを高める学修成果につながったかどうかを考えて進める必要があります。また、次に挙げる注意点を守って利用する必要があります。
●生成AIを安全に正しく利用するための注意点
生成AIを有効かつ安全に利用するために、以下のような知識や注意が求められます。
①生成AIの出力をそのままレポートや作品の成果とすることは効果的な学びにつながらないので不適切であり、成績評価に関係する提出物においては不正行為にあたること
②生成AIの出力の一部をそのままレポートや作品に利用すると知らないうちに剽窃(他人の著作物を自分のものと偽って利用すること)となる可能性があること
③AIの生成内容には虚偽や偏りがある可能性があり、利用するときには内容の確認・裏付けを行う必要があること
④生成AIの利用の可否を含めて担当教員の指示や意図を確認し、レポートや作品等の制作に生成AIを利用した場合には、利用したことや利用した生成AIの種類・箇所等を明記することが必要であること
⑤生成AIに入力した情報がAIの機械学習に利用される等によって意図しない情報漏洩につながる危険性があることを理解し、公開すべきでない個人情報や機密情報を入力しないように十分注意すること
⑥生成AIの出力結果が著作権を侵害する可能性があることを理解し、SNSやWebサイト等への公開、学外コンテストへの応募、学会発表や展示会等への出展に際しては、著作権侵害の恐れがない内容であることを確認するか著作権者の許可を得ること
ただし、著作権に関しては、大学の授業で利用する限り、著作権法第35条により許諾なく他人の著作物を利用できるため、たとえAIの生成物が他人の著作物に似ていても違反にはなりません。
上記の指針を参照し、授業や研究活動において安全かつ有効に生成AIの利用を行ってください。
なお、生成AIの利用に関して判断に迷う場合は、個別の授業に関しては担当教員、その他の学修や学生生活での利用に関しては、学務課に相談してください。
以上
2024年5月22日
名古屋文理大学短期大学部教務委員会