研究の出発点
一つの人型教具から、さまざまな情報科学の学びへ
ヒューマンピクトグラムアンプラグド(HPアンプラグド)は、人型ピクトグラムを共通の教具として用いる学習活動です。カードや木製の人型を動かすだけでなく、その様子を学習者自身がまねることで、情報の表現やアルゴリズムを身体的に捉えます。
2017年、東京都立高等学校の教員として授業に取り組んでいた時期から研究と実践を続けています。実際の授業で学習者の反応と理解を確かめ、効果を感じながら教材を改善してきました。
本研究は、伊藤一成教授、米田貴先生との共同研究として取り組みました。活動ごとに異なる教具を用意する負担を抑えながら、年齢を限定せず、複数の学習内容へ展開できる教材を目指しています。
教材の設計
研究で大切にした3つの考え方
コンピュータを使わないこと自体を目的にせず、情報科学へ入るための学びとして設計しました。
- 01身体と教具を結びつける
人型ピクトグラムの動きを見て、自分の身体でもまねることで、活動へ参加する感覚と概念理解を結びつけます。
- 02一つの教具を横断して使う
同じ人型教具へ異なる意味を与え、二進法、データ表現、探索、整列など複数の内容に展開します。
- 03コンピュータでの学びへつなぐ
アンプラグドな活動だけで完結させず、必要な場面ではプログラムや情報機器を使う学習へ接続します。
アクティビティ
10の学習活動
一つの人型教具を、数、文字、画素、人のつながりなどに見立てます。活動名は、複数人で動きながら学ぶ様子が伝わるようにつけられています。
情報を表す
- 二進法みんなで!オモテウラ数
- データ表現みんなで!伝われ!オモテウラ文字
- 画像表現みんなで!白黒郵便屋さん
情報を確かめ、届ける
- 情報理論みんなで!質問探偵
- エラー検出・訂正みんなで!発見!寝返った人
- ルーティング・デッドロックみんなで!譲り合いの精神
手順と処理を考える
- 探索アルゴリズムみんなで!推理探偵
- 整列アルゴリズムみんなで!くるりん整列
- 並列処理みんなで!せーの整列
状態とつながりを捉える
- 有限オートマトンみんなで!友だちの友だちは有名人
現在の活動へ
手に取って考える教材研究として続いています
この研究で扱った「人型の教具を動かし、抽象的な内容を目に見える形へ変える」という考え方は、現在のピクトグラム教材にもつながっています。
現在は3Dプリンタによる立体教具の製作や、記号と身体的な動きを組み合わせた授業実践へ展開しています。
現在のピクトグラム教材を見る →
研究資料
研究発表論文
2017年度の研究発表論文では、教材の設計指針と、模倣学習を促す動画の見せ方について詳しく述べています。